がんに対する有効性が証明されていない植物由来の栄養補助食品(パート1)

健康への関心の高さを反映するように、世の中には様々な栄養補助食品が出回っています。中には、がんに対する効果をうたう製品もありますが、有効性が証明されていないこと多いので注意が必要です。

そこで、本投稿では注意すべき栄養補助食品についてご紹介しております。

目次

  1. アメリカショウマ(またはブラックコホシュ)
  2. アロエ
  3. アミグダリン(商品名:レートリル)
  4. センシンレン
  5. アベロズ(別名:ペンシルツリー、ミドリサンゴ、ミルクブッシュ)
  6. バッチフラワーレメディ
  7. カンナビジオール(CBD)
  8. 大麻
  9. カンセマ(別名:黒軟膏)
  10. トウガラシ属
  11. カルクトル
  12. キャッサバ
  13. ひまし油
  14. シャパラル(またはメキシコハマビシ)
  15. クロレラ
  16. エキナセア
  17. エラグ酸
  18. エイジアック

アメリカショウマ(またはブラックコホシュ)

健康増進をうたう栄養補助食品の原料になるキンポウゲ科の植物。一般的には更年期症状を緩和するためのサプリメントとして使用されているが、乳がんの治療により引き起こされた更年期症状に対する補完療法として研究されている。

そのような理由により、がんの治療薬として使用できると拡大解釈されることがあるが、現時点では、がん治療においてアメリカショウマに有効性があるという主張を裏付ける科学的エビデンスは存在しない。

アロエ

アフリカ原産の多肉植物。皮膚疾患に用いられており、脱毛の改善や創傷治癒の促進に効果があると考えられている。優れた抗炎症作用があるので、がんに対する研究が行われていることもあり、濃縮アロエを原料とする栄養補助食品が「がん治療薬」として宣伝されることがある。

現時点では、アロエを含む健康食品や栄養補助食品がヒトのがん予防や治療に役立つというエビデンスはない。

アミグダリン(商品名:レートリル)

ウメ、アンズ、モモ、ビワなどのバラ科サクラ属植物の種子に多く含まれる青酸配糖体。以前から、がん治療薬として大々的に宣伝されているが、がん治療に対する有効性がなく、ヒトに対して有害性があることが明らかになっている。

アミグダリンをがん治療薬として宣伝することについては、医学史上最も狡猾かつ洗練された、間違いなく最も収益性の高いがん治療薬のイカサマ宣伝と評されている。

センシンレン

アーユルヴェーダ医学で使用されるハーブ。がん予防および治療のための栄養補助食品として宣伝されている。これに対し、がん専門病院は、がんの予防または治療に役立つというエビデンスはないとコメントしている。

アベロズ(別名:ペンシルツリー、ミドリサンゴ、ミルクブッシュ)

アフリカ・南米原産の多肉植物の低木。その乳白色の樹液は有毒なのにもかかわらず、がん治療薬として宣伝されている。アベロズの樹液は、実際には免疫系を抑制して腫瘍の成長を促し、ある種のがんを発症する原因となる可能性があるという研究結果が出ている。

バッチフラワーレメディ

エドワード・バッチ(1886~1936年)博士が考案した製剤。微量の植物由来物質を水とブランデーの混合液で希釈したものである。フラワーレメディには免疫力を高める効果があると宣伝されることがあるが、がんを含むあらゆる種類の病気のコントロール、治癒、予防において、バッチフラワーレメディに有効性があることを証明する科学的エビデンスはない。

カンナビジオール(CBD)

大麻植物から抽出されるフィトカンナビノイド(植物性カンナビノイド)。カンナビジオールのがん治療における有効性について多くの主張がなされているが、確固としたエビデンスによって裏打ちされていない。現時点では、科学のように見える疑似科学の域を出ていない。

大麻

嗜好品また医薬品として使用されている。大麻由来の化学物質は、抗がん作用の可能性に関する研究対象となっており、多くの研究所で幅広い研究が行われている。このような理由により、大麻にがんの治療効果があることが証明されたと主張する動きがあるが、専門家によると「非常に誤解を招く」ものである。

米国のがん研究所は、がんに関連する症状やがん治療による副作用の治療薬として、大麻はアメリカ食品医薬品局(FDA)による承認を受けていないと指摘している。

カンセマ(別名:黒軟膏)

がん治療、とりわけ皮膚がんの治療薬としてよく宣伝されているペーストまたは湿布の一種。だが、がん治療においてカンセマに有効性があるというエビデンスはなく、実際は有害で皮膚に使用すると火傷や外貌醜状を引き起こす可能性がある。

トウガラシ属

ナス科の植物の総称。カイエンペッパーやハラペーニョのような辛い香辛料の原料となる。お茶やサプリメントなどのトウガラシを主成分とする多くの製品について、がん治療などの健康効果があると宣伝されることがあるが、米国のがん専門機関によると、トウガラシ属またはトウガラシ配合サプリメントにがん予防・治療効果があるという主張を裏付ける科学的研究は存在しない。

カルクトル

アーユルヴェーダのハーブを原料とするハーブ系サプリメント。イギリスでがん治療薬として積極的な売り込み活動が行われているが、その有効性を示す科学的なエビデンスはない。

キャッサバ

南米原産の低木。キャップサバの根は炭水化物を豊富に含む食材で、タピオカの原料でもある。がんの治療薬として宣伝されているが、がん治療・予防におけるキャッサバまたはタピオカの有効性に関し、現時点では説得力のある科学的エビデンスはない。

ひまし油

唐胡麻(とうごま)の種子から作られる油。ひまし油を皮膚に塗布するとがんを治すという主張があるが、ひまし油を皮膚に塗布するとがんなどの病気を治癒するという主張を裏付けるエビデンスはない。

シャパラル(またはメキシコハマビシ)

ハーブ療法の原料として使われる植物。がん治療薬として販売されているが、がん専門機関は、あらゆる種類のがん治療・予防のためにシャパラルの摂取を推奨しないとコメントしている。

クロレラ

藻の一種。健康を増進する特性があるとして宣伝されている。一部では、がんを治すと主張されているが、現在の科学研究において、ヒトのがん予防・治療において有効性があるという主張を裏付けるエビデンスはない。

エキナセア

キク科の草本顕花植物。がんに効果があるハーブサプリメントとして宣伝販売されているが、がん専門機関によると、がんの治療に有効性がある、がんを予防する、がんを治癒することを証明するエビデンスはない。

エラグ酸

ベリー類をはじめとするいくつかの食品に含まれる天然フェノール。がんを含む多くの病気を予防・治療する効果があるとして宣伝販売されているが、そのような主張はまだ証明されていない。

エイジアック

20世紀初頭に考案されたブレンドハーブティー。がんの治療薬として宣伝されている。だが、アメリカ食品医薬品局(FDA)の「消費者が避けるべき『偽のがん治療法』リスト」には、エシアックが含まれている。

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