フロントライン治療としてニボルマブ(オプジーボ)を受けた患者の体験談

米国においてフロントライン治療としてニボルマブ(オプジーボ)が評価された初の臨床試験に参加し、治療を受けた患者さんの体験談をご紹介します。

フロントライン治療としてニボルマブを受けた患者の体験談について

ホジキンリンパ腫は、これといった典型的な初期症状がないので見過ごされることがあり、気づいた時にはステージ3や4の進行期になっていることがあります。患者の年齢中央値が29歳と比較的若年なこともあり、治療を受けることによる仕事や家庭生活への影響、あるいは治療後の長期にわたる副作用などの課題があります。

このような患者の不安に応えるために、米国において進行期のホジキンリンパ腫を対象として、フロントライン治療にニボルマブ(オプジーボ)を用いた初の臨床試験が行われました。

気づいたらステージ4

米国の東海岸に住むハンナさんは、2020年に正看護師としてのキャリアをスタートさせましたが、この頃、首のリンパ節に腫れがあり、体重が減少していることに気づきました。

それでも、新型コロナウイルスの感染拡大中だったこともあり、看護師として長時間労働を強いられていたので、かかりつけ医はストレスと疲労が原因ではないかと考えていました。

その後、症状が悪化すると、ハンナさんは画像検査や血液検査などの詳しい検査を受けたいと強く希望するようになり、専門医による診断を受けることにしました。地元の医療機関に問い合わせてから数ヶ月後、別の医療機関で働く医師から連絡がありました。この医師から紹介された大学病院のメディカルセンターで働く専門医の診察を受けたところ、ステージ4のホジキンリンパ腫であると診断されました。

当時を振り返って「あの頃は、本当に具合が悪かったです。抜け殻のような状態でした。まるで操り人形のようにフルタイムで働いていました」と語っています。

大学病院で臨床試験に参加

大学病院でハンナさんを担当することになったのは、ニボルマブ(オプジーボ)を評価する臨床試験に参加していたオンコロジスト(がん専門医)でした。この担当医の説明を聞いて納得したハンナさは、この臨床試験に参加することにしました。

この臨床試験では、進行期(ステージ3または4)のホジキンリンパ腫患者がBV-AVD(ブレンツキシマブベドチンとAVD化学療法)グループとN-AVD(ニボルマブとAVD化学療法)グループに無作為に振り分けられました。ハンナさんはN-AVDグループに振り分けられ、治療を受けることになりました。

治療中にキャリアもプライベートも大きく前進

初回の投与を受けた後に変化を実感し、疲労感がまったくなくなり、リンパ節のしこりに触れても分からなくなったそうです。その後、この治療を6ヶ月間継続し、2021年12月に体内からがん細胞が消滅したと診断されました。

この時について「久しぶりに医者から良い知らせを聞くことができました」と喜びを表し、「がん治療を受けると、色々なことができなくなると思っていましたが、何もしないでいる訳にはいきませんでした。予想に反して、治療中も仕事をして普通の生活を送ることができました。これは、若い人にとっては本当に大切なことです」と自身の体験を語っています。

実際、治療中に婚約したり、ナースプラクティショナー課程にも入学したりと、プライベートとキャリアの両方を前進させることができました。

臨床試験を契機にキャリアが大きく変化

臨床試験での治療が終わった後、ハンナさんは主治医から、メディカルスクールの学生を対象としたリンパ腫の講義を受けてみないかと誘われました。興味を持ったハンナさんは、主治医からの誘いを快諾して受講することになりました。その結果、キャリアが大きく変化することになり、現在は臨床試験を受けた大学病院の消化器がん科で働いています。

ハンナさんは、若くしてステージ4のがんになりましたが、臨床試験に参加したことで、整形外科の看護師から腫瘍科の看護師へと、キャリアにおいて大きな前進を遂げることができました。「がんになるという災難に見舞われましたが、それをプラスに働かせることができます」と、がん患者に希望を与える体験談を語っています。

全身の痒みと急激な体重減少に悩まされていたらステージ3

カリフォルニア州に住むジョージーさんも、このニボルマブ(オプジーボ)が評価された臨床試験に参加した患者の一人でした。

2020年の初めに体調不良を感じ始めた時、ジョージーさんは40歳の父親で3歳未満の子供が二人もいました。その当時、抑制できない全身の痒みや急激な体重減少などの症状が見られました。体調が大きく崩れた時に何度か救急外来の世話になり、かかりつけ医の診察を数回受けた後、最終的にステージ3のホジキンリンパ腫と診断されました。

がんと診断されてパニックと安心感

幼い子供を持つ父親でもあるジョージーさんは、がんと診断された時について「『がん』という言葉を聞いた時、目の前が真っ暗になりパニックを起こしてしまいました。でも同時に、悩まされた症状の原因が分かったので安心しました」と複雑な心境を語っています。

ホジキンリンパ腫の治療を受けるために担当医と面談をしたところ、すぐに「この人なら大丈夫」と感じることができたそうです。この担当医も、このニボルマブ(オプジーボ)が評価された臨床試験に参加していた医師でした。担当医を信頼していたジョージーさんも、この臨床試験に参加することにしました。

わずか4回の治療で寛解

臨床試験でジョージーさんはN-AVD(ニボルマブとAVD化学療法)グループに振り分けられました。初めて治療を受けた後に疲労感がありましたが、それが治療全体を通じて感じた最初で最後の最悪な状態でした。わずか4回の治療で寛解に至りましたが、がん細胞が残存している可能性があるので治療を継続するよう勧められたので、予定通り治療を継続することにしました。

ジョージーさんは自身の体験を踏まえて、がんと診断されてパニックを起こしたり、ひどく絶望したりしている人が周囲にいたら「今は治療法がたくさんあるから慌てなくても大丈夫」と、安らぎの言葉をかけているそうです。

コメントを残す