再発・難治性ホジキンリンパ腫

一般的にホジキンリンパ腫は治りやすいと言われていますが、化学療法を行ったのにもかかわらず、残念ながら治療が功を奏さなかったり、再発したりすることがあります。そのような場合、再発・難治性ホジキンリンパ腫として言及されることがあります。そこで、再発と難治性について調べてみました。

再発・難治性ホジキンリンパ腫について

再発と難治性の違い

ホジキンリンパ腫の再発

再発は、一旦は寛解したものの、リンパ腫が再び発症する、あるいは増殖することを指します。古典的ホジキンリンパ腫の場合、一般的には診断されてから3年以内に大部分の再発が起こりますが、もっと年月が経過してから再発することもあります。一部の追跡調査においては、再発後の治療への反応に差があることを理由に、治療終了後12ヶ月以内に再発した場合と12ヶ月以降に再発した場合に分類することがあります。

難治性ホジキンリンパ腫

難治性は、初回治療に反応せず、がん細胞が増殖し続ける、あるいは治療に対する反応があまり長く続かず、治療終了後3ヶ月(または2ヶ月)以内に病状の進行または再発が見られることを指します。このような場合、正式には、原発性難治性ホジキンリンパ腫と呼ばれるようです。

再発率・難治性になる割合

次に、再発率と難治性となる割合について調べてみました。一般的に再発率は、予後良好(ステージ1および2)患者の場合は10~15%、進行期患者の場合は15~30%であるとされています。意外なことに、ステージ1や2の予後良好患者でも再発率が高いようです。治療に反応しない、あるいは治療を終えた時点より病気が進行する難治性ホジキンリンパ腫の割合は、患者全体の約10~15%であるとされます。

再発・治性の予後

再発と難治性の定義や分類方法は、国や研究機関によって多少の違いがあるのですが、予後が悪くなる順については一致しています。予後が一番悪くなる傾向にあるのが難治性で、次が12ヶ月以内の再発、その次が12ヶ月以降の再発という順序になります。難治性の場合、20年ほど前までは、再発後に治療を行っても長期生存は極めて難しかったのですが、近年では、新たな治療法の登場により有望な結果が望めるようになりました。

ちなみに、ホジキンリンパ腫には、古典的ホジキンリンパ腫(CHL)と結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫(NLPHL)がありますが、再発と難治性について、この2種類の病型を比べると、再発と難治性の両方について、結節性リンパ球優位型の方が予後が良好になることを示す研究があります。

再発が起こるメカニズム

一般的に、リンパ腫の治療で用いられる化学療法は、成長が活発ながん細胞を殺すことに優れています。このような性質により、ホジキンリンパ腫のような悪性度が低いリンパ腫の場合、がん細胞の成長が遅いものがあると、網の目を潜るように生き延びてしまうことがあります。治療が終わった直後は、このような生き残り細胞は体内に分散されていますが、時間の経過と共に一か所に集まってきて、適当な大きさになると再び活発化し、検査等で再発が確認されます。

適切な例えではありませんが、テロ集団や武装集団、反乱勢力との戦いと同じようです。「危害を加えてきた敵は徹底的に叩く」ことが重要なようです。完全に叩きそこなって残党組があちこちに散らばると、時間の経過と共に再び集団を形成してまた暴れだします。あるいは、まだ子供だからと寛大に島流しにしたり、見逃してやったりしても、大人になってから復讐のチャンスをうかがってまた襲ってきます。そうすると、また新たな戦いが始まります。

ホジキンリンパ腫ではなく、悪性度の低い非ホジキンリンパ腫の場合ではありますが、化学療法により完全寛解に至っても、2年以内に再発してしまうことが多くなる傾向にあります。そこで、完治を目指すのではなく、上手く管理することに重点を置く考え方(治療方針)も海外にはあるそうです。幸いなことに悪性度が低いので、生命を脅かすことはないのですが、生涯にわたって非ホジキンリンパ腫と付き合うことを意味します。

再発における格差

最後に、再発について、興味深いというより、残酷な現実という言葉が似合う事実についてご紹介させていただきます。米国では、近年、ホジキンリンパ腫の生存率が目覚ましく向上しており、「がん治療におけるサクセスストーリー」と形容されているそうです。それでも、カリフォルニア州でホジキンリンパ腫患者に対して行われた追跡調査によると、他の人種と比べてアフリカ系アメリカ人、特に若い男性の再発率が目立って高いことが報告されています。

この傾向は、米国における失業率の動向と見事に一致します。経済が絶好調でも、アフリカ系アフリカ人、特に若い男性の失業率は、他の人種と比べて高い傾向にあります。やはり、社会的、経済的、そして住環境に恵まれないという過酷な事実は、ホジキンリンパ腫の予後にも反映されると考えられます。

さらに、ラテンアメリカでは、ホジキンリンパ腫の再発率が高く、再発後の死亡率も高いことが明らかになっています。直接的な原因は、医療制度が充実していないことにあるとされますが、遠因として、社会格差や貧困問題もあると考えられます。

それ以外にも、一部の文献によると、換気が悪く埃が漂っている場所で、化学薬品を使用するような作業に従事する人は、オフィスでデスクワークをする人と比べて、再発する可能性が高くなることが報告されています。これは、あくまでもホジキンリンパ腫のみを研究対象としており、他の悪性リンパ腫やがんについても同じことが言えるのかは不明です。

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