統計でみる血液がん

今回は、趣を変えて、ホジキンリンパ腫を含む血液がんに関する米国の最新統計から生存率を中心にご紹介いたします。

統計でみる血液がんについて

血液がんとは

血液がんは、骨髄、血液細胞、リンパ節に加え、他のリンパ系の部位に発生するがんの総称で、悪性リンパ腫以外には白血病、骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)などがあります。米国における患者数の内訳を見ると、血液がん患者全体の約半分が悪性リンパ腫、約3分の1が白血病、約6分の1が骨髄腫となります。

世界に目を向けると、血液がんと診断される人は年間で約124万名に達し、がん患者全体に占める割合は約6パーセントとなります。内訳は、白血病が45万4341名、悪性リンパ腫が61万5993名、骨髄腫が16万8765名となっています。一方、血液がんによる死者数は年間約72万名と推測されており、全がんによる死亡数の約7パーセントを占めています。

そして日本では、2012年のデータに基づくと、血液がんと診断された人は合計4万5718名で、内訳は、白血病が1万2209名、悪性リンパ腫が2万6632名、多発性骨髄腫が6877名となっています。

5年生存率

最新の診断年による5年生存率によると、血液がんの生存率は、骨髄異形成症候群(MDS)の38%からホジキンリンパ腫の90%までと幅がありますが、全体的に右肩上がりです。下記の表は、米国における白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)の年代別生存率をまとめたものです。

1960~1963年1975~1977年1990~1992年2010~2016年
白血病14%34%45%66%
非ホジキンリンパ腫31%47%51%75%
ホジキンリンパ腫40%72%82%90%
骨髄腫12%25%29%55%
骨髄異形成症候群有効なデータなし有効なデータなし有効なデータなし38%
骨髄増殖性腫瘍有効なデータなし有効なデータなし有効なデータなし85%

白血病

米国では、2021年に6万1090名が白血病と診断されると予想されており、白血病と共に生きている人、あるいは白血病を寛解した人が39万7051名いると推測されています。

白血病の5年生存率は、1960年から1963年の14パーセントから、2010年から2016年の66.4パーセントまで、約4倍になりました。白血病といても、さまざまな種類があり、種類によって生存率にばらつきがあるので、種類ごとの数字をご紹介します。

急性リンパ性白血病(ALL)

全体では72.1パーセント、15歳以下の子供は92.5パーセント、5歳以下の小児は94.4パーセント

急性骨髄性白血病(AML)

全体では29.8パーセント、15歳以下の子供は70.6パーセント

慢性リンパ性白血病(CLL)

成人で最も一般的な白血病で、全体として88.6パーセント

慢性骨髄性白血病(CML)

まれな白血病で高齢になると発症しやすく、全体として71.1パーセント

治験における慢性骨髄性白血病(CML)の生存率は、上記の生存率よりも高くなる傾向があります。その理由として、治験では、綿密な臨床監視がなされて優れた薬剤が使用されることもあり、疾患の増悪のリスクが低くなり、生存率が高くなると考えられています。

米国では、2013年から2017年までの期間において、白血病はがんによる死亡原因として、男性については6位、女性については7位でした。

悪性リンパ腫

米国では、2021年に9万0390名が悪性リンパ腫と診断されると予想されています。内訳は、ホジキンリンパ腫が8830名、非ホジキンリンパ腫が8万1560名です。さらに、悪性リンパ腫と共に生きている人、あるいは白血病を寛解した人が82万5651名いると推測されています。具体的には、ホジキンリンパ腫が15万2671名、非ホジキンリンパ腫が67万2980名となります。

ホジキンリンパ腫

ホジキンリンパ腫は、2010年から2016年までの期間における5年生存率が89.6パーセント(全人種)で、1960年から1963年までの40パーセント(白人のみ)から2倍以上になりました。45歳以下で診断された患者の場合、5年生存率は95.1パーセントという高い数字に達し、現在ホジキンリンパ腫は最も治りやすいがんのひとつと考えられています。

非ホジキンリンパ腫

一方、非ホジキンリンパ腫は、2010年から2016年までの期間における5年生存率が75.1パーセント(全人種)で、1960年から1963年まで30パーセント(白人のみ)から大きな上昇を成し遂げました。45歳以下で診断された患者の場合、5年生存率は84.7パーセントに達しました。

骨髄腫

米国では、2021年に3万4920名の人が骨髄腫と診断されると予想されており、骨髄腫と共に生きている人、あるいは骨髄腫を寛解した人が13万8415名いると推測されています。

5年生存率は、1960年から1963年までの12パーセント(白人)から、2010年から2016年までの55.1パーセント(全人種)へと大きく増加し、2017年の3年生存率は69.1パーセント(全人種)で、45歳以下で診断された患者の場合、5年生存率は76.8パーセントでした。

骨髄異形成症候群(MDS)

米国では、2013年から2017年までの5年間で7万5497名の新しい患者が報告されており、毎年1万5099名が骨髄異形成症候群(MDS)と診断されていると予想されています。また、骨髄異形成症候群(MDS)と共に生きている人、あるいは骨髄異形成症候群(MDS)を寛解した人が5万8471名いると推測されています。5年生存率は、2010年から2016年までの期間は38.3パーセントでした。

骨髄増殖性腫瘍(MPN)

米国では、2013年から2017年までの5年間で6万572名の新しい患者が報告されており、毎年1万2314名が骨髄増殖性腫瘍(MPN)と診断されていると予想されています。また、骨髄増殖性腫瘍(MPN)と共に生きている人、あるいは骨髄増殖性腫瘍(MPN)を寛解した人が9万9869名いると推測されています。5年生存率は、2010年から2016年までの期間は85.0パーセントでした。

コメントを残す